丸重城の人々~後編~
中也「でもほんと、嬉しい!
前はさ、よくジッポー使ってたんだ。兄貴達とお揃いのヤツ。でもダメにしちゃってずっと100円ライター使ってたから!」
柚希「あー、大翔は立派なの持ってるよね?
それこそ、蜘蛛のデザインの」
中也「玄もお揃いだよ!
俺達兄弟と、玄を含めた三人の幹部の五人お揃いなんだ」
柚希「じゃあ、後…泰成くんと、流風くん?」
中也「そうだよ!」
柚希「今も会ったりしてるの?」
中也「二人共、仕事忙しいからな!
でも、たまに会うよ?」
柚希「私も久しぶりに会いたいな!」
中也「いいよ!連絡してみようか?」
柚希「うん!あ、でも…大翔に聞かないとダメかな?」
中也「兄貴も一緒にみんなで会えばいいじゃん!」

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大翔「はぁぁ?ダメだ!しかも泰成と流風って、一番あり得ねぇ…!」
大翔が仕事から帰り、さっそく聞いてみる中也。
中也「てか、もう連絡してここに来るよ!」
大翔「はぁぁ?中也!勝手なことすんな!!」
中也「いいじゃん!今日は、玄も響子もいるしよ!
同窓会みたいでよくね?」
大翔「よくねぇよ!?」

中也「てか、柚希は兄貴の嫁さんなのに、何をそんなに嫉妬すんの?」
大翔「柚のことが好きすぎるから!
本当はお前にも、響子にだって見せたくない。
誰の目にも触れさせず、閉じ込めて監禁したい位に」
中也「兄貴、狂ってるな」
大翔「あぁ。自覚あるから、大丈夫だ。
ちゃんと理性で食い止めることができるから」
中也「兄貴」
大翔「ん?」

中也「その理性…壊れたら、俺は容赦しないから!」
いつになく、真剣な中也の目。
大翔「わかってるっつうの!
………あと泰成と流風のこと、今後は先に俺に言えよ!」
中也の視線を受け止め、後ろ手に手を振りながら去っていく大翔だった。

中也「俺は、本気だからな……!」
そして中也が大翔の背中に向かって、静かに呟いたのだった。

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