丸重城の人々~後編~
広子「仕事は?何してるの?」
泰成「建築家だよ」
流風「俺はレストラン経営」
柚希「へぇー、凄い!」
流風「今度、レストランにおいで?ご馳走するよ!」
大翔「じゃあ“二人で!”行くから、しくよろ~!」
隣にぴったりくっついていた大翔が、柚希を更に抱き寄せながら言った。

流風「女性“四人で!”おいで?」
それを雰囲気をピリッとさせ、言い返す流風。
大翔と流風に火花が散る。
柚希「二人共、やめて!」
中也「すぐ、火花が散らすよな。
兄貴と流風」
玄「姫のこととなるとね!」

将大「流風は好きなの?柚希ちゃんのこと」
流風「好きだよ!まだ」
柚希「え?流風…くん…?」
流風「言ったでしょ?そんな簡単じゃないって!」
柚希「うん…でも…私……」
流風「わかってるよ!姫の気持ちは。
だから、気にしないで?」

大翔「もう、その話やめろ!
…………だから、会うの嫌だったんだよ……!?」

泰成「でもよ!花井 柚希って言ったら、毒蜘蛛の“姫”だもんな!」
流風「響子が初めて連れて来た日、一瞬で大翔と中也の心をさらってその後も、俺達の視線さらって……
一気に“姫”って呼ばれるようになったもんなぁ」
泰成「大中兄弟と響子の“宝物”だったし」

柚希「久しぶりにみんなで会いたいね!
毒蜘蛛やシスルのみんな、どうしてるかな?」
響子「そうね。シスルのみんなには声かけてみようかな?」
柚希「うん!」

泰成「ここって、禁煙?」
広子「ううん。換気は常にしてるし、大丈夫よ!」
泰成「じゃあ、遠慮なく…」
流風「俺も~」
大翔「じゃあ、俺も!」
男性達が煙草を吸い出した。

柚希「あ……」
柚希は大翔達五人のライターを見た。
確かに大翔達四人は、お揃いのジッポーを使っていた。
きっと特注で作ったのだろう。
刺青と全く同じ毒蜘蛛が、しっかりデザインされていた。
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