世にも歪な恋物語
「あかん?」
こてん、と顔を傾けて問いかけられる。
さらさらの黒髪。白い肌。
長いまつげに、整った顔立ち。
……ずるいよ。
そんなに可愛くお願いされたら、ぜったいに、断れない。
とはいえ、いきなり名前呼びは、ハードルが高すぎるというか。
「ほら」
すっごく照れくさいなあ!?
「もしかして。僕の名前。覚えてへん?」
「し、知ってる!」
「ほんまに?」
ニヤっといじわるに片方の口角を上げる、和葉さん。
そんな顔もするんだね。
ダメだカッコよすぎる。
「呼んでみて」
認めざるを得ない。
わたし、和葉さんに恋してる。
「……こ、ころ。さん」
「さん付けんくて。ええのに」
「呼び捨て……は。敷居が。高い、です」
「そーなん?」
わたしの胸の鼓動、となりまで、聞こえてしまいそう。
「ほな。心くんで」
「え?」
「僕は、みーちゃんて。呼ぼ」
どうか、どうか、バレませんように。
「なっ……」
「かわええやろ。みーちゃん」
この気持ちを知られたら――わたしがあなたを好きだと気づかれたら、もう、今みたいに話しかけてくれないかもしれない。
せっかくクラスメイトとして声をかけてもらえているのに、ずっと距離を置かれるかもしれない。
クラスメイト以上を望んで、この関係が壊れてしまうのは、イヤだ。