世にも歪な恋物語


 とても、諦められない。

 諦めたくない。


「あの抽象画」


 部室にあった君の絵。

 あれは、恋する気持ちを描いたものだろう?


 今なら、わかる。


 あれは君の純愛だったと。


 君の作品にさえ嫉妬してしまう。


「ズタズタに切り裂いてやりたい」


 君が愛おしそうに眺めたスマホ、壊してやりたい。


「ダメですよ……先輩。こんな、アプローチの仕方しちゃ」


 マニュアルどおりの恋愛ができないなら

 いっそ、知らなくていい。


「俺に恋して」

「めちゃくちゃです。こんなの」

「君がそうさせた」

「わたし……が?」

「約束通り。次に俺が付き合う相手は。俺が本気になれた子にする」


 パンドラの箱を開いたのは、君だ。



 【END】


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