運命なんて信じない
「悪かったね」
席に戻ると、主任の旦那さんが謝ってくれた。

「お詫びにデザート追加しておいたから、好きなだけ食べて」
陸仁さんもいつも通りに戻っている。

その後、一体何人分のデザートかと聞きたくなる量を4人で平らげた。
おかげで、もうおなか一杯。

「琴子ちゃん、遅くなれないんだよね?」
どうやら主任から聞いている様子の陸仁さん。

「すみません。うちが厳しくて、10時には帰りたいんです」
見ると、時刻は9時半。

あー、今日は遅れそうだな。

「送っていくよ」
陸仁さんが席を立った。

「いえ、電車で帰ります。まだ時間はありますから」
「無理矢理誘ったのは俺なんだから、送ります」

断言されてしまい、言い返せなかった。
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