運命なんて信じない
麗と翼と別れ、自宅に帰ったのは9時過ぎだった。
さすがに土曜日だけあって、賢介さんもおじさまも家にいる。

「琴子お帰り」
幾分疲れた表情の賢介さん。

「ただいま」
挨拶はするものの、会話が続かない。

「麗達と、またよからぬ事を考えていたんじゃないよね?」
ちょっと笑いながら、許さないぞって見つめられた。

ふー。
賢介さんに向き直った私は、1つ息を吐き。

「じゃあ、賢介さんはどうするつもりですか?教えてください。そうすれば、余計な邪魔はしませんから」
珍しく強い口調で言ってしまった。

「そんな心配はしなくていいんだ。琴子は」

「いつまで子供扱いするんですかっ!」
つい、賢介さんの言葉を遮った。

「いっつも何も教えてくれなくて、私がそんなに信用できませんか?」

不思議そうに私を見る賢介さん。

「わかった、ついておいで」
いつもの優しい笑顔を引っ込めて、賢介さんは階段を上がっていく。

私は後を追った。
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