運命なんて信じない

「翼」
空港で翼を見つけると、私は大きく手を振った。


「お帰りなさい」
「ただいま」

相変わらずスラリとした身体つきに、仕立て良さそうなのスーツ。
いくらか落ち着きまででてきて、

「なんだか大人っぽくなったわね」
「幾つだと思っているんだ。随分前から大人だよ」

それはそうなんだけど。

「4年ぶり?」
「3年半かな」

入社後数年で営業から海外事業部に移った翼は、ヨーロッパを拠点にアフリカ各地を飛び回っていた。
だから、私自身も翼に会うのは久しぶり。

「お疲れ様でした」
「わざわざお迎えありがとう」
顔を見合わせ、照れながら笑った。
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