運命なんて信じない
「もしもし」

「琴子?」

「はい」

「今何時だと思ってるんだっ!」
やはり、怒鳴られた。

「ごめんなさい」

「今どこ?」

「終点らしい・・・です」

もー、消えられるものなら消えてしまいたい。

「何でそんなところにいるの?」

「ちょっとだけお酒を飲んでしまって、つい電車でウトウトと・・・」

はああー。
盛大な溜息が聞こえてきた。

「近くに店は?」

「田んぼしかないの。それに・・・」

「まだ何かあるの?」

「カバンがなくなっていて」

「バカッ!何してるんだよ。いいかそこを動くな。駅の中で待ってなさい」

「はい」
小さな声で返事をした。

なんだか叱られている遥みたい。
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