運命なんて信じない
「お疲れ様」
勤務終了後、社員通用口で翼が待っていた。

「もー。1人だけ逃げて、ずるい」
麗が口をとがらせる。

「平日に二日酔いって、社会人として自覚なさ過ぎだろう」
翼が笑ってる。

「とにかく、翼がずるい奴って事は分かったわ」
私も文句を言いながら、3人で駅へ向う。


会社の中で、私が社長宅に住んでいると知っているのは、麗と翼と三崎さんだけ。
今日も、「お嬢さんは大変ね」なんて麗が嫌みを言われ、「あなたも付き合う友達を選びなさい」と私には同情の視線が向けられた。
どちらかと言えば、私のせいなのに・・・

「ごめんね、麗」
「何で琴子が謝るの。うちのママが告げ口したのよ」
あっけらかんと笑い飛ばす麗に救われる。

「じゃあ、また明日ね」
それぞれに手を振り、私達は自宅へと向かう電車に乗り込んだ。
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