運命なんて信じない
「藤沢さん」
「はい」

声をかけられて振り返ると、受付用の制服を着た若い女性が立っていた。

「私、小畑彩佳(おばたあやか)です。入社3年目。よろしくね」
とても優しい笑顔を向けられて、
「藤沢琴子です。こちらこそ、よろしくお願いします」
私も頭を下げた。

受付のスタッフは全部で20人ほど。
課長は男性だけどそれ以外はすべて女性。
先輩達もみんないい人で、昨日の欠勤など気にする様子もなく私を受け入れてくれた。

受付の基本的な業務は、正面受付をはじめ何カ所かに別れている受付の来客対応。
みんながシフトを組み交代で受付に入る。
その他は、来客の案内に呼ばれたり、事務室で事務処理をしたりの仕事。
半日ほど業務内容の説明を受けた後、案内用の制服を身につけて私も勤務に就くことになった。

「小畑さん。年齢もあなたが一番近いし、藤沢さんの指導係をお願いしますね」
「はい」

主任の指示に返事をし、私を見てにっこりする彩佳さんに、私も笑顔を返した。
< 24 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop