不良男子と私の話。




「昨日、荒川に報告を受けた。親父と母親が捕まったって」

『何で?』

「母親の交際相手が薬を密売してて、母親と親父はそこから買ってたんだって…多分、俺たちを引き取った時には既に狂ってたんだと思う」




正直、言葉を失った。

湊にかける言葉も見つからなかった…




「死んで見つかれば良かったのにな。」

と、

湊は言った。




私には、湊の感情が読めなくて…怖かった。


もちろん、私は親に『死』という言葉は向けたことはない。


私には、

想像出来ない以上に苦しんでると思う。


いつもふざけているけど…色々なものを抱えてると思うと、涙が止まらなくなってしまった。




私が、泣いたって何にもならない…

けど、辛かった。




「何で泣いてんの?紗良」

『…ごめん』

「俺は紗良がいてくれれば幸せだ」

『ありがとう、湊』




湊は、泣き続けていた私のことをずっと抱きしめていた。




湊の方が辛いはずなのに…ごめん。




湊が少しでも幸せだと思っていてくれて、十分。


私も、湊がいてくれて幸せだよ。

ずっと、一緒にいようね。





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