私は醜い裏切り者


春風が気持ちいい。





高校二年の春は良い天気だ。





去年の春は、ちょうど雨が降り桜が平然と散ってしまった。




悲しい春だった。





スーッと息を吸い込む。桜が香る空気は私の体の中の空気を洗い流してくれるような、そんな澄んだ空気だ。






「ーーはぁ、今日から高校二年生かぁ」





私、久本杏里(ひさもとあんり)は今日も平凡な毎日を過ごす、ごく普通の女子高生。





そんな私が変わった変化といえば、数ヶ月前に別れた彼氏がいた事。





長続きしなかったが今でも、話をする大切な友達だ。





その彼の名前は、古川真斗(ふるかわまさと)くん。




メガネをかけたちょっとオタクな彼は、ガンダムや可愛い女の子が出てくるアニメが大好きだった。



< 1 / 18 >

この作品をシェア

pagetop