【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
 毛布から腕だけにょきっと出したルルは、床に散らばっていた帳簿をたぐりよせて開いた。

「昨日の礼拝に合わせて開いたガレージセールの売り上げが出たの。初の四ケタ大台突破よ。これで向こう六カ月の雑費はまかなえるわ」

「あらまあ。納屋に押し込んでいた不要品が、そんなに価値があるだなんて」
「だから言ったでしょう。欲しい人はいっぱいいるはずよって」

 使われなくなった燭台や焼き菓子の型、誰かが落としたロザリオの欠片などを門の近くに並べると、礼拝に訪れた人々に飛ぶように売れた。

 ついでに、頼んでもいないのに王宮から送られてきたリボンや羽根ペンなど、ルルにとっての邪魔な物も並べて売り飛ばした。

 こちらは、何かあった場合にそなえて個人的に貯めている。

 ルルがいる壁のくぼみ――アールコーブベッドとして使っている場所の壁につくった棚には、貯めた金貨を入れたポシェットと、何度も読み返した本、兄からの手紙といった私物が収められている。持ち物はこれで全部だ。

 余計なものはいらない。
 そう、巣ごもり生活ならね!
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