【コミカライズ】黒騎士様から全力で溺愛されていますが、すごもり聖女は今日も引きこもりたい!
「この体勢が楽なの。表からは毛玉に見えるでしょうけど、ただの毛玉じゃないんだから。閉ざされた毛布のなかで、無理やり形作られた『ご立派なルルーティカ王女殿下』がドロドロに溶けて、いつものルルーティカに作り直されていくのよ……」

「貴方はサナギですか。くだらない冗談を言ってないで、顔くらいお出しになってください。掃除係に粗大ゴミに出されたら困ります」

 それは大変だ。ルルが頭をぴょこんと出すと、ベールを抱えてソファの前にしゃがみこんでいたノアと目が合った。ノアは、思わずといった様子で笑う。

「御髪がぐちゃぐちゃですよ」

 そう言って、指でルルの髪をすいた。表情は、大聖堂に乗り込むときとは打って変わって柔らかい。
 すわった目は何を考えているか読めないけれど、幻滅や失望の色はなかった。だからこそ、ノアの前でだけは『いつものルルーティカ』でいられる。

「ぐちゃぐちゃでも誰も気にしないわ。ノアも休憩したら。ここはわたしが使っていた部屋だから、ベッドでも椅子でも自由に使って」

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