禁忌は解禁される
「いや、確かに律子を殺したのはこの世界のせいだからな。
一颯が嫌うのも無理ない。
ただ、この家を出るなら結婚してからでないと認められないがな」
「うん…わかってるよ」
「あと、見合い相手の一樹から連絡があった。
今回は付き合いを見送りたいと申し出があった」

「え……?」
「あくまでも断りではなく、見送りだそうだ。
その意味がわかるか?一颯」

「なんとなく…」

(颯天を想ってても、妻として迎え入れたいって言われたんだけどな……)

「一颯?」
(いや、そもそも引かれたとか?)

「姉ちゃん?」
(だって普通に考えたら、あり得ないもんね……
血が繋がってないとはいえ、弟を好きになるなんて)

「一颯!!」
「へ?」
「どうしたんだよ?姉ちゃん」
「あ、いや…なんでも……」
不思議そうに二人に見られ、俯く。

「とにかく、そうゆうことだ」
「わかった」

それから颯天は、仕事へ。
一颯は部屋に戻った。
七夜に貰った、ピアスをケースにしまう。
「結構気に入ってたんだけどなぁ」

結局、七夜を傷つけたことには変わりないのだろう。
「ごめんなさい…七夜さん……」
やはり、この世界は人を傷つけることしかできないのだ。

誰か早く、ここから出して…………

一颯は自分が穢れてる気がして、洗い流しに風呂場に向かった。

浴槽に浸かりまた悶々と考えすぎた為、少しのぼせてしまいタオルだけ身体に巻いてそのまま部屋に戻り、ソファーに横になった。
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