元勇者、ワケあり魔王に懐かれまして。
 供物になったと言われているのか、それともまだ平気な顔をして歩き回っていると知られているのか。

 しかし、ティアリーゼは考えを中断させる。

 それ以上考えを深めていると、暗い感情に引きずられてしまいそうだった。

 気を取り直し、今日はどうしようかと考える。

 外は明るい。ならば出かけてみるのもいいだろう。

 昨日は城の中を歩くに留まったが、今度こそ外へ出るのだ。

(シュクルは今日も仕事?)

 窓の外を見ながら、異様なほど懐いてくる魔王のことを思い出す。

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