クールなきみと、甘くない秘密。




夏目くんの恋を応援した。

その日が金曜日でよかった。


だってあのあと、くるしくて悲しくて、涙が止まらずたくさん泣いたから。


あんなに泣いたのは初めてで、恋の苦さを知った。



土日でなんとか気持ちを少しは落ち着かせることができたけど、学校へ向かう足取りは重い。


きっとまだ、気持ちの整理はついていないんだと思う。


教室へ入ると夏目くんはまだ来ていなくて少しだけホッとした。


どんな顔で会えばいいのかわからない。

顔を合わせられない。



「すず、どうかした?」

「んー……ちょっとブルーな気分」

「めずらしいね」




机に突っ伏して夏目くんのことばかり考えていると、有紗ちゃんが心配そうに声をかけてきた。

有紗ちゃんはいつもわたしの変化に気づいてくれる。


本当に優しい友達だ。





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