クールなきみと、甘くない秘密。




長岡先生が結婚をすると知って、思わず大号泣をしてしまった。

それをいちばんつらくて悲しくてくるしいはずの夏目くんが、優しく笑ってずっと頭を撫でてくれた。


……わたし、肝心なときに役に立たないな。


そして、わたしはあの場面で、夏目くんのことが好きなんだと気づいた。



好きになったときには失恋が決まってるなんて、わたしの初恋かわいそう。


だって、夏目くんは先生のことが好きなんだもん。

結婚するって知っても、そんなにすぐに断ち切れるようなものじゃないでしょ?


それならわたしは、好きな人がいる人を好きになったりなんかしないはずだもん。



いまとなって、夏目くんの気持ちが痛いほどわかるなぁ……。


昨日のこともあるし、顔を合わせるのも恥ずかしい。



けど、もう家を出ないといけないから、カバンを持って家を出た。




「あ……」


いままで、登校のときに会ったことなかったのに、こんな日に限って校門前ではちあわせ。




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