だけど本当は、きみが最初で最後の恋


でもやっと!やっと少し距離ができた!

このたび、大学に無事合格して、この度遠距離恋愛がはじまります。


遠距離恋愛をよろこぶのはへんかもしれないけど、恋愛より前に気がラク。今のところ淋しさのかけらもない。

でもまあ、あれだけ一緒にいたんだ。そのうち淋しくなって、会えない夜に電話しちゃったり、どうしようもなく会いに行っちゃったり、会いたいって言えば飛んできてくれたりするようになるのかなあ。え、なんかラブラブっぽくていいかも。


相変わらず顔合わせたらけんかっていうのは治ってない、癖づいてしまってるから、むしろ多少の逆境は必要だよね。


とにかくこれからのびのびした生活が送れると思うとうれしくて、アイツがこれから4年通う大学も住む場所も未だに聞いてない。

気にならないわけじゃないけどそれよりも自分のこれからの生活が気になったし、アイツも言わないし、言ってこないのにあたしが聞くのもなんか癪で。でもあとで電話で聞いてみようかな。さすがにもう知らないのもへんだよね。…一応、付き合ってるんだし。


ああ、なんかむずむずかゆい。アイツとあたしが付き合うなんて、半年経ってもぜんぜん慣れない。



「弥生くんもこれ食べるでしょ?」


昨日前泊してくれて一緒に作った柔らかいプレッツェルを差し出している姫春。

さっきまでピンクのシーサーを撫でて遊んでいた弥生もうれしそうに食べてる……やっぱりなんか雰囲気が、恋のコの字を発してるのは気のせいじゃないと思う。



「気になる……でも見守るのも親友の努め……」

「何、とーか」

「ナンデモナイデス」


でもまあ、弥生なら安心どころじゃない。それは逆も然り。ふたりは地元に残るしこれからが楽しみだなあって思う。シーサーおすそ分けしようかな。


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