だけど本当は、きみが最初で最後の恋


さっきまでの空気カムバッグ。ふたりに迷惑かけちゃうし、これ以上ヒートアップするわけにはいかないのに、折れたくもない。


「何、おれとその子の仲を気になってんの?」


は……調子にのらないでほしい。


「そっちだってあたしが誰と知り合ったとか気になる系?毎回報告しましょうか?」

「いらねーし、フザケンナ」

「そっちがフザケンナ」

「うるさい、ふたりとも」

「「すみません」」


弥生の口からぴしゃりと言い放たれた言葉にいったん気持ちを落ち着かせる。


「ふたりとも気になってんだよ。その言い方をもうちょっと考えたらいいのに」


さっき怒ったような顔をしていた弥生は、俳優顔負けの笑みで言う。え、怒ってなかったの?


「「気になってなんかないし」」


口を揃えて否定する。

なんで真似すんだよ…という目で見られたからにらみ返す。ああもう、コドモの相手って疲れる。


うざいのはこっちだって同じだ。



「…とにかく、べつに、成咲みたいに浮かれたりしないから」

「おれみたいにってなんだよ」


「えー、浮かれてくれてもいいよ?」


「…はい?」


話を割って突然再登場した樹良くんが、へんなことを言う。


「これ差し入れ」


渡されたポテトは、こんがり香ばしいおいしいにおいがする。


「あ、ありがとう…」

「浮かれてよ。俺も、とーかちゃんみたいな綺麗な子と知り合えてうれしいし、仲良くなれたらいいなって思ってたから」


どうやら話を聞かれて、またお世辞を言わせてしまったみたい。

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