羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】
「いや、賛成です。できればいますぐにでも結婚してほしいくらいに」
「賛成⁉」
驚きすぎて立ち上がりそうになる。立ち上がれなかったのは椅子がふかふか過ぎたのもあった。
(っていうか、なんで? どうして賛成⁉)
結婚するとまだ決まってなくても、付き合ってることすら絶対反対されるものと思ってた。
なのに社長はきょとんとした様子で、
「何故そんなに驚かれるんですか」
と言う。
「いや、あの……私と健人さんとでは釣り合わないと思っていましたから」
私は言葉を選んで言う。それは誰が見ても明らかだ。うちのボロ屋を見れば、もっとその気持ちが濃くなるだろう。
それを聞いて社長は少し考えると、
「それは家柄とか……そのような面で、と言う事でしょうか」
「そうです」
「確かに、一樹は真中グループのご令嬢との縁談が進んでいますが」
「……そうなんですね」
副社長は政略結婚を控えているらしい。
私は思わず納得してしまった。真中グループも大きな食品系のグループ企業だ。それは、お互いの会社にメリットの大きな結婚だろう。
「そして、健人も、本来であれば、そのような家柄の方と結婚してほしかった」
社長は言う。
そうですよね、と言おうとして、社長の言葉が、過去形であることに気づいた。