羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

「貸しって……」
「なんの得もなく、そんな意味のない事、俺がする理由がある?」
「先輩だって、私と変な噂が立つのは……別に得することもないでしょう!」

 私は思わず先輩を睨んだ。すると先輩は驚いた表情で私を見る。

「何言ってるの?」
 そして、続けた。「俺は、みゆにしか興味がない。会社中……日本中全員に公言したいくらいだよ。みゆにしか、『そういう気』が湧かないって」

「……な……!」

 この人は何を言いだしたんだ! 日本中に公言って……まさかしないだろうけど、ほんとにやめてください!
 私が固まっていると、先輩は私の唇を撫でる。そのしぐさに身体が跳ねた。

「あの時のキスで、もう一度確信した。やっぱり俺は、みゆしかダメみたい。みゆ、ありがとう」

 意味が……意味が分からない……。
 私が泣きそうな顔で先輩を見ると、先輩は楽しそうに笑っていた。

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