羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 先輩は私に麦茶と、一樹さんにコーヒーを出すと、
「それより、みゆがいつまでも仕事辞めないんだけどさ」
と愚痴るように一樹さんに言った。

 それに私はむっとすると、
「仕事は辞めないって言ってますよね。せっかく仕事覚えて来たし、みんないい人だし」
と返す。


「ほら、またこれ。一樹からもなんとか言ってやってよ」
「あはは。かわいい義妹のお願い事はききたいから辞めさせられないよねぇ。それに社内で会えるのは嬉しいし」


 そう。一樹さんは完全に私の味方だ。
 あれだけかわいい弟、と評されていた先輩だが、軍配は私に上がったのだ。


「最近俺よりみゆの方が優位じゃない。気持ちはわかるけど」
「かわいいよねぇ、妹って」

 そう言って目を細める一樹さんの顔は、先輩にちょっと似ている。
 一樹さんの目は、完全にかわいい妹を見る目、そのものだ。

「二人の子どもも今から楽しみすぎてならないよ」

 そう言って私のお腹を見た。

< 271 / 302 >

この作品をシェア

pagetop