羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。【番外編 2021.5.9 UP】

 宮坂さんは一通り笑うと、
「ところでさ」
と真顔で言う。

「は、はい!」
「あなた、本当に羽柴先生と何の関係もないわけ?」
 私は一瞬息をのんだ。「月曜、あなたと羽柴先生を見かけたって社員がいて」

「……あ、あの」

 急に羽柴先輩の話題になって私は焦る。
 月曜と言えば、羽柴先輩と屋台のラーメンを食べた日だ。

 言葉に詰まっていると、

「お疲れ様」
と助けるような声が聞こえて、顔を向けると、羽柴先輩がブースに顔を出していた。

「羽柴先生!」
 宮坂さんも私も驚いて立ち上がる。

「打ち合わせ中にごめんね」
「ちょうど終わったところです」

 宮坂さんが言う。そして、羽柴先輩の隣にもう一人、スーツの男性が立っていて私たちはそちらに目を向けた。見たことない人だ。弁護士バッチをつけているので弁護士だろうと言うことはわかったけど、宮坂さんにも分からないらしかった。

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