まだ、青く。
文章を読んで

字を見て

やっぱり潤ちゃんだと思った。

最後まで名前を伏せていたことを考えると直接聞いて確かめることはしないけど、潤ちゃんと手紙を通して繋がれていたのかと思うと、なんだか胸がぽかぽかした。

フラれたけど、後悔はしてないって書かれていたし、自分の助言は間違っていなかったのだと分かって安心もした。


でも、1つ疑問が残ってしまった。

それは言わずもがな、凪くんの思い人。

潤ちゃんでもないならば、誰なのだろう。

私の知らない誰かなのかな?

クラスが同じ人?

委員会が同じ人?

それとも、家が近所の人?


って、何を私はこんなに真剣に考えてしまっているのだろう。

凪くんの想い人を考えたところで分かるわけないのに。

なんでこんなに胸がじんじんと痛むのだろう。

どうしてこんなに胸がじわじわと熱くなるのだろう。


私は......


知りたい、


のかもしれない。


凪くんの想い人を、

いや、それよりも先に

凪くん自身を。


気になる理由は濃霧の向こうで見えないけど、

ただ、

知りたいんだ。

私は凪くんを

知りたい。


真夏の昼下がり。

天窓から覗く青空には白い雲が同じ方向に悠々自適に泳いでいた。

私の心もまた、雲のように人間社会という大きな空を漂っていた。

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