狙われてますっ!
困ったことに、いい男だな……。
いや、汐音のためには、なにも困ったことではないのだが。
加倉井求と手を握り合いながら、渡真利はそう思っていた。
そのとき、求のスマホが鳴った。
「あ、ちょっとすみません」
と断ったあとで、その画面を見た求が微笑む。
汐音からなにか来たのだろうか。
嬉しそうだな……。
ちらと自分のスマホも見てみたが、汐音からは、なにも入ってはいなかった。
そのことを寂しく思ったとき、手が滑って、スマホを落としてしまった。
床を滑っていってしまったようで、屈んで探していると、求が怯えたように言ってきた。
「渡真利さん、なに探してるんですか?
……矢ですかっ!?」
……何故、矢、と思いながら、渡真利はスマホを拾った。