告白予約。〜猫系男子は赤面少女に夢中〜




「あのっ!」
「!は、はい」
「この前の朝、助けてくれた人ですよね?!」
「えっ、あぁ」


 立ち止まり振り返ると、声を掛けて来たのは、この前階段から落下していたOLさんだった。

 突然声を掛けられた驚きで、上手く言葉が出ない私に、OLさんは不安げに話を続ける。



「え、もしかして人違いでした……?」
「いえ、あの」
「この前、私落下の衝撃でコンタクトが外れちゃってたから、正直顔が曖昧で……背格好で何となくそうかなと思って声掛けちゃったんだけど……」
「えっと」
「人違いだったなら、ごめんなさい。どうしてもお礼を言いたかったから」



 正直、すぐにでもそうですと言えば済む話なんだけど、立ち止まる私たちを通り過ぎていく同じ学校の生徒達が、チラチラとこちらを見て、助けたというワードで何か面白いものを見るように去っていく。

 それが、目立つのが苦手な私にとってはすごく恥ずかしい。恥ずかしいならあんなに目立ってまで助けるなよという話しなんだけど、とにかく私は見返りを求めてはいなかった。

 だから、OLさんには申し訳ないけど、私じゃない人が助けたということに────。
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