竜王陛下のもふもふお世話係2~陛下の寵愛はとどまるところを知りません~
「それは、何時頃?」
「確か、四時半頃だったと」
「そうか」

 ラルフからの報告では、四時頃にスザンナのお茶会がお開きになったと言っていた。時間的にも辻褄が合う。

(どこに行ったんだ?)

 焦る気持ちだけが強くなる。

「あの……」

 険しい表情のジェラールに、マリベルがおずおずと声をかける。

「実はわたくし、今日の馬車でミレイナ様に悩み事を相談されたのです」
「悩み事?」
「はい。陛下のご機嫌を損ねてしまうかもしれないので、これはわたくしの心の中に留めておこうと思っていたのですが──」
「いいからさっさと言え」

 もったいぶるような言い方に、ジェラールは苛立った口調で先を促す。

「実は、自分のようなものにジェラール陛下の寵妃は務まらないので姿を消したほうがいいのではないかという相談でした。王妃教育も上手くできないと、とても辛そうでしたわ。それに、最近たびたび起きる魔獣のトラブルも元を正せば自分のせいなのではと責任を感じている様子でした」
< 163 / 244 >

この作品をシェア

pagetop