竜王陛下のもふもふお世話係２～陛下の寵愛はとどまるところを知りません～
「話はわかった。夜分に邪魔したな」

　もうここに用はないと、ジェラールは踵を返す。

「ゴーラン。ミレイナを探してくれ」

　結局、頼れるのはゴーランだった。
　ジェラールはゴーランに話しかける。

「陛下。もう彼女は諦めるべきです。陛下の御心を無視して逃げ出すような者に──」

　ブレンダンが屋敷の外にまで追いかけてきて、苦言を呈する。

「黙れ。ミレイナを侮辱するのは俺を侮辱することだと思え。次はないぞ」

　怒りを込めて睨み付けると、ブレンダンはサッと顔色を青くする。
　一方のゴーランは鼻をひくひくとさせると屋敷の正面に停められていた一台の馬車の匂いを熱心に嗅ぎ始める。そして門の外を見つめると、一気に走り出した。

（ミレイナの匂いを感じ取ったか？）

　フェンリルであるゴーランはとても鼻が利く。ジェラールの知る限り、今まで匂いを辿って見つけられなかったものはひとつもない。
　ジェラールはゴーランを追うために白銀の竜へと姿を変えると、大空に飛び立った。

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