片桐兄妹の言うことにゃ

再度千治のバイクで燐は家へ送られた。
ヘルメットを返して、燐は空を見上げた。

夜は深く、濃い。

「じゃあな、兄貴によろしく」

片桐家はまだ灯りはついていない。藍はまだ帰ってきていないのだろう。

「はるちゃん、ありがとう」

バイクのハンドルに腕をかけ、後ろ姿を見ていた。急に振り返り、そう言った燐に驚き、きょとんとした顔を見せる。

「お前、肝据わってんなあ」
「ご飯食べてく?」

病院に連れて行ってくれたので。
燐は礼を兼ねてそう提案した。千治にすれば、ブルーイカロスの出処の捜索に協力をする、ということで既に釣りが出そうなことだったが。

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