蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 今の私達に必要な事……それは相手を知ることから怯えて逃げるのではなく、お互いにちゃんと向き合って理解し合う努力をする事だと思うんです。
 そうすれば柚瑠木(ゆるぎ)さんはもっと私を信頼できるのではないでしょうか。そして私ももっと色んな柚瑠木さんを受け入れることが出来るはずです。だから……

「聞かせてください。柚瑠木さんの痛みも苦しみも、全部私には吐き出してもいいんですよ。」

 私の言葉に柚瑠木さんの身体がピクリと反応しました。彼の迷う気持ちも分かります、ですが私はどうしても柚瑠木さんの口からきちんと話を聞きたかったんです。
 私の事をもう一度ギュッと抱きしめた柚瑠木さん、彼はそのまま私の耳に囁きました。

「もし……それが月菜(つきな)さんを契約結婚の相手として選んだ後一つの理由だとしても、貴女は知りたいですか?それでも月菜さんは僕から離れないと約束してくれる?」

 柚瑠木さんが私を契約妻として選んだ後一つの理由?私は思ってもいなかったことを言われて少し戸惑いましたが、気持ちは変わらなかったので……

「何度でも約束します、私は柚瑠木さんから逃げません。絶対に離れてなんてあげませんから。」

 そう言うと私も柚瑠木さんの背に腕を回しました。私が帰りたい場所はいつだって柚瑠木さんの傍なんです、だから私も柚瑠木さん安らげる場所になりたい。
 そう思って彼を見上げると……

「話します、僕の全てを月菜さんに。だから……全部、受け止めて――――」


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