蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


「どうかしたのですか、月菜(つきな)さん? 今、鏡谷(かがみや) 匡介(きょうすけ)と話していたようですが」

 心配そうに私の顔を覗き込む柚瑠木(ゆるぎ)さん、彼はすっかり過保護な旦那様へと変わってしまいました。それはそれで幸せなのですけれど。

「いいえ、杏凛(あんり)さんの心配をされていただけですよ。彼も本当に過保護ですよね」

「そうですね、あの男もきっと……」

 柚瑠木さんの言葉の続きは、私もなんとなく分かります。でもその事を口には出せません、それを彼女に伝えられない理由が匡介さんにもあるはずなのだから。

「さあ、僕らも帰りましょうか。僕たちの家へ」

「はい! 今夜は晩御飯、柚瑠木さんリクエストの煮込みハンバーグですよ」

 柚瑠木さんの差し出してくれた手に、自分の手を重ねて歩き出します。夕暮れに染まる空を眺めてこうして二人の家である【ラピスヒルズビレッジ】へ帰るんです。

 あの日から柚瑠木さんは悪夢に(うな)される事は無くなりました。真澄(ますみ)さんも今は旦那さんの単身赴任先で暮らしているそうです。

「楽しみですね、月菜さんの作ってくれる料理はいつも美味しい」

「全部柚瑠木さんが食べてくれるから、作り甲斐があるんですよ」

 そう言って笑い合って、これから先もずっと一緒にいてくださいね。二人で掴んだ幸せを離す事がないように……

     ―END―
     2021/02/22 花吹


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