蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~


 確かに私は、今日はとても怖い思いをしました。けれどそれは私の不注意も原因の一つで、柚瑠木(ゆるぎ)さんが気にするようなことでは……
 けれどふと気付いたのです。私は途中で気絶したせいで事件の内容が良く理解できていない事に。私が目覚めてから柚瑠木さんはその事について何も話してはくれていないのです。
 いったい何故……?

「この契約結婚が、これから先も続くかどうか……それは私の答え次第という事なのでしょうか?」

 それならば私の答えはもう決まっています。もしそれが柚瑠木さんの望む答えでは無かったとしても、私の望む未来は変わらないと思います。
 だからちゃんと確認しておこうと思ったんです。2人のこれからを決めるのに、私の意見を聞いてもらう事が出来るのかどうかを。

「……ええ、そうです。そしてその返答を聞く前に僕は、月菜(つきな)さんにきちんと話さなければいけないことがあるんです。」

「私に話さなければならない事……ですか?」

 何故でしょうか、このお話を柚瑠木さんから聞くのが少し怖い気がするんです。

「まずはこれを見ていただけませんか?説明はそれからです。」

 真剣な表情で私を見ていた柚瑠木さんは、そう言うと書類の入った封筒を私に手渡してくれました。綴じてある書類を封筒から取り出して、パラパラとめくり読んでみたんです。
 ……これはどういう事なのでしょうか?書類を捲る指先が震えて……書かれている内容に頭がついていかないんです。


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