蜜溺愛婚 ~冷徹御曹司は努力家妻を溺愛せずにはいられない~



 私の全て……ですか?一瞬だけ柚瑠木(ゆるぎ)さんの言葉の意味が分からなくてポカンとしてしまいました。そんな私の答えをじっと待っている柚瑠木さんを見て、やっと彼の発言をちゃんと理解することが出来たのです。
 柚瑠木さんはどこまで本気なのでしょうか?初めての夜、彼が私に触れたのは唇だけでした。それから性的な意味で彼が私に触れることは一度も無かったんです、なのに何故……?

「どうしますか、月菜(つきな)さん。僕から逃げますか?」

 どうしてそんな事を言うんです?私は柚瑠木さんから逃げたことなんて一度も無いのに。そんなに私は信用できない妻ですか?

「柚瑠木さんは何をそんなに怖がっているんですか?私は何度も貴方の力になりたいと言っています、この気持ちまで疑わないで欲しいんです。」

 もしかしすると柚瑠木さんには人を簡単に信じられない何か理由があるのかもしれません。けれどこうして少しだけでも心を開いてくれたんです、私はその隙間からでも貴方に近付きたい。
 だから……

「それに……私はもうすでに、全て柚瑠木さんのものなんですよ?」

 柚瑠木さんの背中に回した腕に力を入れて、私から彼にギュッと抱きつきました。柚瑠木さんが私の事をどう思っているかはまだ分からないけれど、自分の気持ちはハッキリと伝えておきたかったのです。
 私はもう柚瑠木さんに特別な感情を抱いているのだと……


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