甘溺愛婚 ~性悪お嬢様は契約婚で俺様御曹司に溺愛される~


 聖壱さんが私の事を心配して言ってくれてるのは分かる。だからって、そんなに過保護にならなくても……

「貴方が私の事を気にしてくれるのは嬉しいわ。だけど、私だって大人の女なのよ?自分の事は自分で何とか出来るつもりよ。」

「分かってる、香津美は強い女性だ。それでも……お前の事は俺が守りたい。」

 守りたい?気が強くて性悪女だとばかり言われるような、こんな私を?聖壱さんの瞳を見つめ返すけれど、まっすぐな彼の眼は嘘をついているとは思えない。

「私は、守ってもらうほど弱くは……」

 何度か周りの人に言われたことがあるわ。「香津美さんは強いから一人で大丈夫だね。」と。強い私は守ってもらう訳にはいかないの。

「そうじゃない、俺にとって香津美が強いか弱いかは関係ない。お前の事が好きだから守りたい、それだけだ。」

 聖壱さんは今まで私が言われてきたことと反対の事ばかり言ってくるの。嫌われてばかりの私を気に入り、危険な事はするなと怒る。そして今度は、今まで守る必要はないと言われてきた私を守りたいなんて……

「そんな事言われても……困るわ。」

 こういう時、私は素直に「嬉しい」とか「ありがとう」が言えないの。私は今まで強がって「一人で大丈夫」だと言い続けてきたから。

「夫が愛する妻を守りたい、これは当たり前のことだ。ゴチャゴチャ言わずに香津美も少しくらいは俺に守られてろ。」

 私の大嫌いな命令形なのに、胸がキュウってなるのはどうして?私も本当はこうやって誰かに守られたかったの?


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