SNSストーカー
置いていかれるのは俺であって、自分ではない。


それをわかっていた。


だから俺は彼女の腕を掴んで強引に井戸の前まで移動してくるしかなかったんだ。


『ちょっと、なにするの!?』


暴れる彼女の体を井戸のふちに押し当てた。


彼女はこちらを向いた状態で、井戸の穴へ向けて背をそらせる状態になった。


『大丈夫。この中にみんないるんだから』


自分の声が井戸の中にこだました。


少しだけ残っている水に月明かりが映りこんでいる。


『やめて!!』


彼女の悲鳴が聞こえた次の瞬間、俺は力を込めて彼女を井戸に突き落としていた。


頭から落下していく彼女の顔は暗くてよく見えなかった。


少しして井戸の底にぶつかる音がして、やがて静かになった。


俺は井戸の蓋を元に戻すと、校舎を後にしたのだった。


翌日彼女は行方不明になったと全校生徒に知れ渡り、大規模な捜索も行われた。


しかし、いまだに彼女は見つかっていない。


あの井戸を取り壊す日が来るまできっと、永遠に見つかることはないだろう。
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