SNSストーカー
でも、俺にとって曜日なんてさして関係がなかった。


友人からの誘いなんてないし、家にいてもやることは勉強ばかり。


それでも自室から出て見ると、リビングで朝からのんだくれている父親がいた。


俺の顔を見るなり「なんだよその顔は」と文句をつけてくる。


どうやら俺の釣り目は別れた母親にそっくりらしい。


母親は俺が物心着く前に出て行ってしまったから、ほとんど記憶には残っていないけれど。


自分の部屋も汚いけれど、父親がいるリビングよりは多少マシだった。


散乱している空き缶。


少し汁の残ったカップラーメンの入れ物。


万年床はペタンコで、脚で踏むと湿った感触が伝わってくる。


部屋のどこかにカビが生えているようで、かすかにカビ臭さもあった。


それらを掃除したいという気持ちはあるものの、どう掃除すればいいか検討もつかなかった。


そういうことを教えてくれる大人が、俺の周りにはいなかったから。


俺ができることと言えば、匂いを緩和させるために換気扇を回すくらいなものだ。


それも、もう何年の掃除していなくてホコリだらけだ。


キッチンへ向かうとすえた匂いが鼻腔を刺激する。


生ものが腐った嫌な匂いや、ハエが飛ぶ音。


テーブルの上にあるのは開けっぱなしの缶詰や、レンジで暖めるタイプのお米。


それに、昨日父親が買ってきた菓子パンだった。


俺は袋の中から菓子パンひとつとペットボトルのお茶を掴むと、そのまま自室へ戻った。
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