政略夫婦の懐妊一夜~身ごもったら御曹司に愛し尽くされました~


俺はそんな過去を思い出しながら、桃香の写真へ目を戻した。

俺の隣で笑う桃香を見て、このときやっと桃香を手に入れたと思ったのだ。誰にも渡さず、キスも体の関係もお互いだけで済ませ、ついに籍まで入れた。

これまでの経緯がどうあれ、俺たちはここからやり直していけばいい。夫婦としてのスタートは新しい関係の第一歩になる。

……と、思っていたのに、結婚しても俺になびく様子はなく、嫌々一緒になった許嫁から進展しそうな気配がまったくない。

その上、なんださっきの。

『夏樹との子作りは終わったんだから!』

かわいくねぇ……。いや、かわいくねぇを通り越して信じられねぇ。今まで俺に抱かれてたのは本当に子作りだけが目的だったってのか。
だいたい終わりってなんだ。ひとり産んで終わると思うなよ。
いや、違うな、そうじゃなくて。

「……俺を好きになれよ」

絞り出した独り言は儚く室内に消える。
熱くなる目頭をまくった腕で押さえながら、大きく息をついた。

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