イジメ返し―連鎖する復讐―

散らかった床に座り込み頭を抱えていると、玄関の扉が音を立てて開いた。

「幸美……？幸美か！？お前、この野郎ーー！！！」

慌てて立ち上がり玄関先まで駆けていくと、そこにいたのはスーツ姿の見覚えのある男性だった。

「お、お義父さん……」

「うちの娘をお前呼ばわりするな」

「す、すみません……。つ、つい……」

「幸美から話はすべて聞いた。お前は俺にとんだ誕生日プレゼントをくれたもんだな」

お義父さんは目を吊り上げて俺を睨み付ける。

「あのっ……それは……」

「俺の誕生日会に来たくなかったんだってなぁ？よかったな、もう二度と行かずにすむぞ」

お義父さんの鋭い視線に耐えられず、思わず視線を外す。

すると突然、後頭部にものすごい衝撃が走った。

「……くっ……！！」

「こっちを向け。俺はお前を殺してやりたいほど憎い」

髪を鷲掴みにされて顔を強制的に持ち上げられると、お義父さんは右の手で思いっきり俺の頬にビンタをした。

瞬間、キーンっという耳鳴りがして音が聞こえなくなる。

口内が切れ鉄の味がする。

「やめっ……」

それでも手を緩めず往復ビンタを食らった。

左右どちらの耳も耳鳴りがして眩暈がしてくる。

その場に倒れ込みたいのに、髪の毛を掴まれているせいで逃げることができない。

「お前を二度と幸美と亜子に会わせない。それと、この家は俺名義だ。車も俺が買った。今すぐこの家から出ていけ！！」

「お義父さん、すみません！俺の話を聞いてください……！」

「お前は同じように頼んだ娘の話を聞いたのか！？自分の話だけ聞いてもらおうなんてむしが良すぎるだろう！？」

髪を掴まれたまま家の外に放り出されて途方に暮れる。

バッグも財布もあの家の中だ。

でも、取りに戻ることはできそうもない。

渋々当てもなく歩き出し、近くの公園のベンチに腰掛ける。