イジメ返し―連鎖する復讐―
「おはよ~」

「瑠偉、おはよっ!」

教室に入ると唯が笑顔でこちらを見つめた。その周りにいた数人も何故か楽しそうな表情でこちらを見ている。

席に座るとか唯がこちらに駆けてきて「今日、1限体育に変更だって」と声をかけてきた。

「そうなの?」

「うん。更衣室に着替え行くから早くロッカーから体操着持ってきなよ」

「ロッカー?」

あー、ダルッ。心の中でため息を吐く。

そういうわざとらしいところがホントめんどくさい。

サプライズなんだったらもっとうまくやれよ、ブス女。

「分かったぁ」

思ったことを顔に出すことはせずニコニコ笑顔でロッカーまで向かう。

その途中も彼女たちの熱いほどの視線を背中に感じる。

ほんと、ダルッ。

「えっ!」

ロッカーを開けると、ミニバルーンや写真、バースデーカードやプレゼントが綺麗に飾り付けられていた。

まあまあかな。色合いのセンスがないのが最悪だけど。

「嘘ぉ~!!なにこれ!!」

わざとらしい声を上げて口元に手を当てると、周りを唯たちが取り囲んだ。

「瑠偉、お誕生日おめでとう!!!」

「みんな、覚えていてくれたのぉ??」

「当たり前じゃん!!」

「どうしよう、嬉しいよぉ……」

目を潤ませながらお礼を言うあたしをみんなが祝福してくれた。

クラス中がそんなあたし達に注目している。

そのとき、教室に入ってきた照くんに気が付いた。

目が合い、みんなにバレないようにほんの少しだけ微笑むと照くんは嬉しそうにはにかみながら自分の席に座った。

男なんてちょろい。ちょっと優しくしてやればみんなつけあがる。

「唯もみんなも本当にありがとう!今まで誕生日の中で一番嬉しい!!」

「喜んでもらえてよかったよ!良い誕生日にしてね」

「うん!!瑠偉、幸せだよ」

アンタの彼氏と今日結ばれる予定だから。

あたしは何も知らない唯に向かってにっこりと微笑んだ。

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