イジメ返し―連鎖する復讐―

「ちょっと色々あって咲綾と仲良くなったんだよ。なっ、そうだよな？」

「うん。二人は何してたの？デート？」

咲綾があたし達に視線を向けて不敵な笑みを浮かべた。

「別にアンタたちにそんなこと答える義務はないんだけど。ねぇ、祐ちゃ……」

隣に座る祐ちゃんに視線を向けると、祐ちゃんは俯いて顔を歪めていた。

「え……どうしたの？具合でも悪い？」

「ちげーよ！！こいつ、いつもこんな感じだし。マジキモいんだけど」

祐ちゃんをバカにしたように言うと、菅田は祐ちゃんの頭をバシッと叩いた。

「す、菅田……やめてよ……」

「ハァ！？声が小さくて聞こえねぇーんだよ」

「やめてくれ……」

「やめて欲しいならもっとでかい声でいってくれねぇとわかんねぇんだよなー」

菅田の言葉には悪意が含まれている。

「やめてくれ、頼む」

「ハァ！？なんだそのしゃべり方！ムカつく野郎だな！！」

菅田が手を振り上げると、祐ちゃんは首をすぼめて目をぎゅっとつぶる。

反射的なその行動は普段から菅田に暴力を振るわれている証のような気がした。

「はははっ！！んなビビってんなよ！カメみたいになってんじゃねぇよ！！」

目に涙を浮かべて楽しそうにゲラゲラ笑っている菅田に不安が全身に込み上げてくる。

「祐ちゃん……」

もしかして祐ちゃんは菅田にイジメられているんじゃ……？

菅田に抵抗することなく言われっぱなしの祐ちゃん。握り締めている拳が小刻みに震えている。

「反応薄くてつまんねぇーな！」

菅田が祐ちゃんのわき腹に蹴りを入れた。

受け身を取れずもろに食らってしまった祐ちゃんの顔が苦悶に歪む。

「アンタ、いい加減にしなよ！！それ暴力だろ！？警察呼ぶよ！」

こらえきれなくなったあたしは祐ちゃんと菅田の間に割って入った。