イジメ返し―連鎖する復讐―
長期休暇が取れると父はいつもマリアと二人で出かけてしまう。

高級なレストランへ連れて行き、好きな物を好きなだけ買い与えてマリアを甘やかす。

何度も羨ましいと思った。

同じ姉妹なのにどうして父はあたしにだけ冷たく接するんだろう。

あたしだって一緒にお出かけもしたいし、甘やかしてほしい。

どうしてマリアだけ……。

「……その写真を誰が送ってきたのか見当はついています。あたしを陥れようとしているんです」

これは咲綾の嫌がらせだ。わざわざうちの家庭のことを調べて父の勤める病院だけでなく院長にまでこの写真を送りつけた。

家族ごとあたしを潰そうって気……？

そんなこと絶対にさせやしない。

「それがどうした。他人に暴力を振るうなんてお前はなんて浅ましい人間だ。お前などこの家にいらない。高校を卒業したらさっさと荷物をまとめて家から出ていけ。そして、二度とこの家の敷居をまたぐな」

「ちょっ、ちょっと待ってください……！大学進学の費用は出してくれるって約束じゃ……」

「こんな写真が広がって俺の経歴に傷がついたらどうする？お前に責任などとれないだろう」

「大丈夫です……！自分でなんとかします！」

「ふざけるな！！なんとかできていないからこんなことになっているのが分からないのか！？」

父が声を荒げてガラステーブルを叩いた。
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