幽霊でも君を愛する
第十二章 柔らかな目覚め
「・・・・・

 ・・・ハッ!!」

気がつくと私は、柔らかいタオルケットの中に包まっていた。その温もりと心地良さから、完全に時間を忘れる程熟睡していた。その反動で、体が重すぎる。
反動はそれだけではない、自分がこの場に至るまで、何があったのかも記憶から抜けている。でも、決して『嫌な思い』をしたわけではない事は断言できる。
そうじゃなかったら、こんな他所様の家に上がって熟睡なんてしない。
確か・・・『サブロー』とかいう人に誘われて、彼の家に入ってから・・・
・・・あぁ、そうか。そのまま眠っちゃったんだ。というか、『霊』になって初めて、睡眠の心地良さを改めて自覚したのかもしれない。
幽霊になってから、生きる為に必要な『食事』や『睡眠』を取る必要が無くなって、最初は快適かと思っていたけれど、だんだんと生きていた時の感覚を忘れて・・・
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