私だけの特別な時間。



生徒が先生を好きになるなんて、それは禁断の恋。
このことは誰にも言えるはずがなかったから、密かに先生を想うことを決めた。


そして、その先生に次に会ったのは、着任式の時。

名前は柴田 幸作(しばた こうさく)先生。
隣のクラスの副担任になること、社会科の先生だということを知った。


それからあとに、柴田先生が私のクラス──3年2組の歴史の授業を担当することがわかって。


柴田先生に三度目に会ったのは、歴史の授業の時。


自分の名前を早く覚えてほしかった私は、授業中、先生の話をよく聞いて細かいことでもノートにメモ。


誰よりも努力して、テストで1位を取れば先生にとって印象強い生徒になれる。
そう思い、苦手な勉強を必死に頑張った。





それから間もなくして、私にすごく嬉しいことが起きる。


軽い気持ちで入った生徒会、会計係の担当の先生が柴田先生だったんだ。


「放課後あいてる人いる?」


春休み中に、溜まりに溜まった会計係の仕事。
その量を見た先生がそう言って、私はすぐに「はい!」と手を上げた。


手を上げたのは、私だけ。
他の人は運動部に所属しているから、放課後は部活があって無理だと言った。


私は吹奏楽部だけど、この日は部活がちょうど休みの日。
先生と話す絶好のチャンスがきたのだった。

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