むすんで、ひらいて、恋をして

テストが終わって

くわあああ、眠い……。



ふわああ……。



「中間テスト、やっと終わったね……」



中間テスト最終日の放課後、莉生とふたりでリビングルームのローテーブルにぐったりと、うつぶせる。



「中間、マジできつかった……」



「ね、受験終わってやっとのんびりできると思ったのに、容赦なく範囲広いし!」



「ギリギリで範囲変更するとか、やめてほしいよな」



「ホント、それ!」



「俺、昨日の夜、全然寝てないかも」



「私も。だって、あの先生、赤点だったら毎日居残りさせるって言ってたよね。絶対嫌だ」



「アリスは勉強できるだろ」



「莉生は……?」



「うっせ!」



「ん~、でも、莉生って、ホントに勉強苦手?」



「は?」



ぴくっと莉生が眉を動かす。



「英語とかすごく得意だし」



「それは、海外で暮らしてた時期があるから」



「ノートも見やすくてきれいだし。勉強できる人のノートっぽい」



「俺、数学、めちゃくちゃ苦手」



「ふーん……それにしても疲れたね……」



「な、めちゃくちゃ眠い……」



「でもさ、テスト明けの解放感、最高だね」



「ん、好きなだけ、寝られる……」



たわいもない話をしながら、ふたりで同時に伸びをすると、ごろんとリビングルー
ムの真ん中に並んで横になった。



うー、このふかふかのラグマット、天国……



「あー……やっと終わった」



「なあ、疲れた……」



心地よい日差しに、重くなった瞼を閉じる。



うん、ちょっとだけ。



だって、テストも終わったし……。



課題も全部出したし。



……アリス



どこか遠くで、莉生の声が聞こえる。



ん———……。



甘い、匂い?



莉生が……なにか、作ってるの、かも。



あー……また、莉生のプリン、食べたいな。



あれ……。



食べ過ぎたのかな、ちょっと、苦しい……。



ん、つぶれる……。



って、く、くるしい!



意識がゆっくりと現実に引き戻される。



これ、プリンの匂い……じゃない。



えっと、多分、莉生の……匂い?



ぱちっと目を開いて、んん?



すぐ目の前に迫るのは……莉生の顔?



って!



ひ、ひやああああああっつ‼
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