むすんで、ひらいて、恋をして
非常階段の踊り場で、人の良さそうな小柄な男の子と向かい合う。



「春宮さん、急に呼び出してごめん。あの、入学してからずっと春宮さんのこと見てました。もしよかったら、俺と……その……」



「ごめんなさい」



ぺこりと頭を下げると、ちくりと胃が痛む。



こんな私のどこがいいんだろう……。



「あ、あの、俺、これからも春宮さんんのこと、思い続けてもいいですか? その、いつか、チャンスがくるまで」



「ごめんなさい。本当に、だれともつきあうつもりはないんです」



正直、そんな心の余裕がない……。



「だれか、好きな人がいる……とか?」



「……好きな人?」



一瞬、莉生の顔が思い浮かんで、ふるふると激しく頭を横に振る。



「い、いえ、いえ、全然!」



「やっぱり青い目、金髪のハイスペックな彼氏がいるって話、本当だったんだ……」



「そ、それは」



言いながら、ブルーのカラコンに金髪にした莉生が目に浮かんで。



いやいやいや‼



そもそも、莉生はハイスペックじゃないし、学力的にはかなりアホだし!



< 227 / 554 >

この作品をシェア

pagetop