むすんで、ひらいて、恋をして
「俺たちはさ、まだ無力で、自分たちの力だけじゃ現実は変えられない。


大人の判断にふりまわされて、傷つけられて。


けどさ、だから出会えた今があるって、俺はアリスと暮らして、初めて思えるようになったんだよ」




「……うん、そうだね」




「だからさ、大人に幸せにしてもらおうなんて、そんなこと考えるのはもうやめよ」



「ん、こうなったら、自分のちからで幸せにならないとねっ」



「それでこそ、俺の姉貴」




腕のなかのアリスを激怒させるくらい、



アリスの頭をわしゃわしゃとなでた。



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