未来の種ーafter storyー
「あっ! ココアブラウンの君だ! 
今日はシャツなの? 
白じゃないの?」
 
「ねぇ、王子様のカッコは? しないの?」

また違う園児がやってきた。
やばい。次から次へと寄ってくる。

「あら、優先生、すみません。
子供達が群がっちゃって。」

げ、保護者までやって来た。

「お母さん! ココアブラウンの風のココアブラウンの君だよ!」

「本物だ!」

さっきからなんなんだよ。
ココアブラウン、ココアブラウンって。

「本物ねぇ〜! やだ、色紙とペン持ってくるんだった。」

「ちょっと…一応先生よ?」

一応ってなんだよ…。
新任だけど、ちゃんと資格もあるし、授業も結構人気あるんだぞ。

「やだでも、アイドルみたいなんだもの。
芸能人に会ったようなものじゃない?」

「ホントねぇ〜。」

言いたい放題言っている保護者3人組をよそに、幼稚園児の子供が話しかけてくる。

「ねぇ、ココアブラウンの君? 
ピアノ、じょうずだねぇ〜。
りさもね、ピアノ習ってるの。
ゆかり先生におしえてもらってるんだよ。」

母さんの教え子か。可愛いな。美衣子の小さい時みたいだ。

しかしなんだよ、ココアブラウンの君って。
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