未来の種ーafter storyー
そしてお義母さんが坂上ピアノスクールを始めると、発表会の衣装に凝りだした。

いつも優と私には3着以上の衣装が用意されていた。
それぞれの演奏に加え、連弾の時はペアルックで揃え、最後の大合唱では、また衣装をチェンジする。
そう、結婚式のお色直しと同じように。

この作戦は大成功する。
同じ発表会に出る子供達だけでなく、保護者達まで羨望の眼差しで見られた。

そもそも、ピアノを習いに来る子供達の楽しみは演奏の上達…ではなく、発表会で着るドレスの割合が大きい。

習い始めるきっかけは、お姉ちゃんやお友達の発表会にお呼ばれすること。そこで普段は着ることのできない綺麗なドレスで、ピアノを弾いているお姉ちゃんやお友達の姿を見て憧れるのだ。

私もあんな綺麗なドレスを着てピアノを弾きたい!と。

そして実際に習いだすと、今度は親達が、我が子の撮影に熱心になる。
年に一度の運動会と同じだ。

そこに目を付けたお義父さんは、発表会会場にいわゆる『映えスポット』をたくさん作ったのだ。

すると当然のことながら、そこら中で大撮影会が行われる。殆どの家庭が両親や兄弟だけでなく、祖父母まで参加して大変な騒ぎだった。
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