未来の種ーafter storyー
「そっか…。
美衣子、最初の診察の時に言ったと思うんだけど、今のところ、骨盤位なんだ。」

「骨盤位……逆子ってこと?」

「ああ。弓状子宮の場合、正しい位置に収まりにくいって事がある話はしたと思う。
先週から少し気になってたんだけど……変わってない。通常はまだまだ動く可能性はある。
けど、美衣子の場合、ひょっとしたら、このままの可能性もあるんだ。」

「じゃあ…」

「ちょっと待ってろ。渡邊先生に連絡するから。今空いてたら来てもらおう。
俺だけの診断だと心配だろ?」

そう言って昇平は指導医である渡邊先生に連絡を取りに行った。

逆子か…。
たしかに最初に言われたっけ。
帝王切開の可能性があるって。

「美衣子、渡邊先生がすぐに来てくれるらしい。お腹が辛かったら、横向きになっていいぞ。」

「うん。ちょっとこの体勢は…」

いつもは横を向いて楽な姿勢で寝ている。

5分も待たずに、渡邊先生が来てくださった。もちろん何度もお会いしている。
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